【MCPとは?】AIと業務システムをつなぐ標準プロトコルの解説

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AIアシスタントを実務のシステムやデータと接続する際、個別実装やベンダーごとの専用コネクタが乱立し、保守やセキュリティ統制が複雑になりがちです。標準化された接続方式があれば、開発・運用負荷を抑えつつ安全に連携範囲を拡張できます。

本記事では、MCP(Model Context Protocol)の基本概念、仕組み、主な特徴と活用メリット、導入の流れ、他方式との比較を分かりやすく解説します。

目次

MCPの基本概念

MCPは、AIアプリと外部データ・ツールを安全かつ簡単に繋ぐ”共通のルール”です。

イメージとしては、AI用のUSB端子のようなもの。MCPを介することで、さまざまなデータベースやサービスに統一的な方法で接続できます。

  • オープンな標準仕様 として公開されているため、特定ベンダーに依存せず幅広いサービスと接続可能です。

  • Host(ホスト)・Client(クライアント)・Server(サーバー)の役割に分かれ、 責務が明確 です。

  • JSON形式のメッセージ通信 を基本とし、 接続手順も統一 されています。

これにより、AIが必要とするデータや操作を安全かつ効率的にやり取りできます。

アーキテクチャと構成

MCPの基本構成を理解すると、どこに何を用意すべきかが明確になります。

構成要素役割代表例
Host(ホスト)LLMアプリ側で接続を開始・管理する実行環境Claude、GitHub Copilot Chat
Client(クライアント)Host内でMCPサーバーとやり取りするコネクタClaude CodeのMCPクライアント
Server(サーバー)実際にツールやデータを提供する側GitHub、Google Drive、Slack

この仕組みによって「AIがどのサービスと、どの範囲でやり取りしているか」を明確に管理できます。

主な機能と仕組み

MCPが持つ代表的な機能は以下の通りです。

Tools(操作の実行)

AIが許可された範囲で 具体的な作業を代わりに行う 仕組みです。

例:問い合わせからチケットを作成、文章レビュー後にPR(Pull Request、変更提案)を送信、会議内容から議事録を保存。

Resources(情報の参照)

AIが指定された情報を読み取り、回答や文章作成に活用できる 仕組みです。参照専用に設定でき、勝手に書き換えることはありません。

例:ファイルサーバーのPDFを読み要点を整理、ダッシュボードの数値を取得してレポートに反映。

Prompts(定型依頼のテンプレート)

よく使う 定型指示やフォーマットをテンプレート化 し、すぐに呼び出せます。

例:「営業メールの下書き」「週報の構成」「障害報告のフォーマット」。

Sampling(回答の再検討)

AIに 追加検討や再生成を依頼できる仕組み です。

例:複数案を出させて条件に合うまで修正、根拠資料を再確認してから確定。

これらの機能に加え、 オープン標準・最小権限の設計・実行ログの記録 といった運用支援の仕組みも備わっています。

安全に活用するための運用設計

MCPを安全に業務へ組み込むには、機能面だけでなく運用設計も重要です。

  • 明示的な同意

AIがどの情報にアクセスし、どの操作を行うかを利用者が理解し、承認できる仕組みを設ける。

  • 必要最小限の権限付与

アクセス権限は必要最小限にとどめ、過剰な範囲を付与しない。

  • ログと監査性

「いつ・何にアクセスし、何を実行したか」を記録し、後から確認できるようにする。

  • 外部サーバーの評価

サードパーティ製サーバーは提供元やセキュリティ水準を事前にチェックする。

このような設計を取り入れることで、MCPは「便利な仕組み」にとどまらず、 安心して業務利用できる基盤 になります。

あわせてご覧ください

MCP(Model Context Protocol)のセキュリティ設計と運用ガイド

ビジネス上の利点

導入効果を業務視点で整理すると次のようになります。

  • 統合コストの削減

個別コネクタの乱立を避け、標準インターフェースで再利用可能。

  • ベンダーロックインの低減

特定ベンダーに依存せず、ホストやモデルの切り替えが容易。

  • 運用・ガバナンスの平準化

権限管理や実行ログをプロトコル共通の枠組みで統制可能。

  • 実験から本番への移行容易性

PoC(試験導入)で構築したサーバーを本格運用へ拡大しやすい。

代表的なMCPサーバー例

どの分野でサーバーが整備されているかを把握すると、最初の連携先を選びやすくなります。

カテゴリサーバー例主な用途
コラボ/ファイルGoogle Drive、Slack、Canva文書取得・要約、メッセージ送受信、デザイン編集
開発/運用GitHub、Vercel、Netlify、SentryIssue/PR操作、デプロイ、ログ解析、監視
自動化基盤Zapier、Workato複数SaaSを横断連携(OAuth認証で安全に接続)

導入のステップ

MCPの全体像を理解したら、次は実際に導入するときの流れを把握することが大切です。以下は最小構成で始める場合の基本的なステップです。

  1. ホストを決める(Claude、Claude Code、GitHub Copilotなど)。

  2. 接続するサーバーを選定(Google DriveやGitHubなど)。

  3. 運用方法を決定(ローカル実行=stdio/リモート接続=HTTPやSSE)。

  4. 認証情報を発行(OAuthやAPIキーなど)。

  5. 承認UIで動作確認 → ワークスペースでテスト。

  6. 権限スコープやログ管理を整備 し、本番へ段階的に移行。

この流れを踏むことで、無理なく小規模に試しながら、安全性と運用性を確保した本番導入へと移行できます。

補足:開発者向けの具体的な設定方法

Claude CLIでの設定例を示します。

Option 1: ローカルサーバー(stdio)

Terminal window
claude mcp add airtable --env AIRTABLE_API_KEY=YOUR_KEY \\
-- npx -y airtable-mcp-server

--(ダブルハイフン)はCLIのオプションとサーバーのコマンドを区切ります。

Option 2: リモートSSEサーバー

Terminal window
claude mcp add --transport sse linear <https://mcp.linear.app/sse>

Option 3: リモートHTTPサーバー

Terminal window
claude mcp add --transport http notion <https://mcp.notion.com/mcp>

他方式との比較

MCPの特徴をより明確に理解するためには、従来よく使われてきた接続方式と比べてみることが有効です。独自APIやプラグイン、RPAなどにも利点はありますが、管理や拡張の観点で課題が残ります。ここでは、MCPと他方式をいくつかの軸で整理します。

方式標準化の度合い導入負荷管理性/監査
MCP高(仕様が統一)低〜中(既存サーバー活用可)高(ログ・権限管理も標準化)
各社独自API実装低(都度対応)中〜高低(仕組みが分散)
プラグイン/拡張中(ベンダー内のみ)中(ベンダー依存)
RPA/画面操作低(UI依存)低(再現性・監査に課題)
Webhook/REST直結低(個別対応)低〜中低(横断統制は別設計が必要)

比較の通り、MCPは”統合の標準化”と”運用の平準化”にフォーカスしたアプローチです。

導入時に注意すべき誤解と論点

  • 「特定モデル専用」ではない → 複数ホストで利用可能。

  • 「導入すれば自動的に安全」ではない → 運用設計(同意・権限・ログ)が必須。

  • 「すべてを置き換える」わけではない → RESTやWebhookと併存可能。

  • 略語の混同に注意 → MCPは「Model Context Protocol」の略。通信規格や資格試験のMCPとは別物。

まとめ

MCP(Model Context Protocol)は、AIと業務システムを標準化された方法で安全に接続するための基盤 です。

Host/Client/Serverの明確な役割分担、Tools・Resources・Promptsといった機能、セキュリティ原則により、従来の個別実装に比べ開発・運用の効率と拡張性を両立できます。

導入を検討する際は、まず小規模に試し、権限やログ運用を整えながら段階的に拡大するのが現実的です。次のステップとして、利用しているSaaSにMCPサーバーがあるかを棚卸しし、試験導入(PoC)の設計を始めてみてください。