Google の Gemini CLI と Anthropic の Claude Code は、どちらも「ターミナルで動く AI コーディング支援ツール」です。ただし、提供元・料金・主なユースケースにははっきりした違いがあります。
CLI とは “Command Line Interface”(コマンドラインインターフェース)の略で、キーボードで文字を入力して操作する方式のユーザーインターフェースです。GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)とは異なり、開発や自動化の場面でよく使われます。
本記事では、エンジニアでない方も含めて理解しやすいよう、事実ベースで両ツールを整理しました。
目次
- 基本概要
- Gemini CLI
- Claude Code
- 共通点
- Gemini CLI と Claude Code の比較
- インストールと利用開始のハードル
- アーキテクチャと実装の特徴
- ユースケースと機能の違い
- モデル・精度・コンテキスト
- 料金体系
- できること / できないこと
- ライセンスとオープン性
- セキュリティとプライバシー
- まとめ
基本概要
Gemini CLI
Google が提供するターミナル向けの AI エージェントで、2025 年 6 月にリリースされたオープンソースの CLI ツール です。コード生成、Web 検索、ドキュメント作成、画像・動画生成ツール(Imagen や Veo)との連携など、幅広い開発支援機能を備えています。
個人の Google アカウントを使用すれば、1 日あたり最大 1,000 リクエストまで無料で利用可能 である点も大きな特長です。
Gemini を開発者の日常ワークフローに統合し、オープンソースとしてコミュニティによる拡張も視野に入れています。
Claude Code
Anthropic が開発した、開発者向けのコーディング支援 CLI です。2025 年 2 月にプレビュー版が公開され、同年 5 月以降は有料プラン限定で提供されています。 複数ファイルにわたるリファクタリングや Git 操作の支援など、実務レベルの開発ワークフローに密着した機能設計が特徴 です。なお、Claude Code はソースコードが公開されていますが、商用利用にあたっては Anthropic の利用規約を遵守する必要があります。
Claude Code はコードベース全体を理解し実行できるエージェントとして、ターミナルでの開発体験を深めることを目指しています。
共通点
Gemini CLI と Claude Code は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、いくつかの共通点があります。
- CLI 形式のインターフェース
どちらもコマンドライン上で操作するツールであり、GUI ではなく自然言語ベースの入力で AI と対話できます。
- 大規模言語モデルを活用
Gemini CLI は Gemini 2.5 Pro、Claude Code は Claude 3.7 系を搭載し、複雑なコード操作や自然な応答が可能です。
- コード生成・編集への対応
両者とも、コードの生成や修正、プロジェクト構造の要約、ドキュメント化など、開発を支援する機能が備わっています。
- 安全設計
ファイル変更やコマンド実行時に必ず確認を挟むなど、誤操作を防ぐ設計が共通しています。
- ソースコードが公開済
Gemini CLI は Apache 2.0 ライセンス、Claude Code もソースが公開されており、開発者による透明な運用が可能です(Claude Code は商用利用に制約あり)。
これらの共通点により、Gemini CLI と Claude Code はそれぞれの強みを活かしつつ、開発者にとって信頼性が高く効率的なコーディング支援環境を提供しています。
Gemini CLI と Claude Code の比較
それぞれの特徴や機能、操作性、セキュリティなど、さまざまな視点から両者の違いを整理していきます。これにより、自分の開発スタイルやニーズに合ったツール選びの参考にしていただけます。
インストールと利用開始のハードル
【Gemini CLI】
npm install -g @google-gemini/cli
Google アカウントでログインすれば 1 日 1,000 リクエスト・1 分 60 リクエストまで無償 で使えます。Windows/macOS/Linux 全対応。
【Claude Code】
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
利用には Claude Pro(月額 20 USD)以上の有料プラン が必須。Windows は WSL 上で動作という前提です。
アーキテクチャと実装の特徴
【Gemini CLI】
-
オープンソース (Apache‑2.0)。GitHub で誰でもフォーク・拡張可能。
-
Node.js 20+ が前提。
npxですぐ試せるクイックスタートを提供。 -
Gemini 2.5 Pro をバックエンドに、 最大 1 M トークン のコンテキストで巨大リポジトリを解析 。
-
MCP(Model Context Protocol) サーバー経由で Imagen/Veo など追加ツールを呼び出し可能 。
【Claude Code】
-
NPM パッケージ として
npm install -g @anthropic-ai/claude-codeで導入。 -
ターミナル REPL で対話。 ファイル編集・Git 操作・テスト実行 などを実コマンドで行う 。
-
セキュリティ設計:直接 Anthropic API に接続し、編集前に確認を挟む 。
-
Enterprise Ready:Amazon Bedrock や Google Vertex AI 経由で社内インフラに統合できる。
ユースケースと機能の違い
Gemini CLI と Claude Code はどちらも開発支援を目的とした AI ツールですが、対応する作業内容や得意領域には違いがあります。以下に主な違いを整理します。
| 観点 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| 想定ユーザー | 初心者〜上級者、調査・資料作成にも対応 | プロ開発者、チームでの利用を想定 |
| 主な機能 | ・コード生成/バグ修正/ドキュメント作成・Web検索連携・画像・動画生成(Imagen・Veo) | ・リポジトリ構造解析(長文脈)・複数ファイル横断のリファクタ・Git操作(コミット/PR作成/競合解決) |
| 操作スタイル | 自然言語チャット+提案コマンド | /commit などの専用ショートコマンド+確認プロンプト |
| 長文脈対応 | 〜1Mトークンのリポジトリ一括解析に対応 | 同等に長文脈対応、複雑なリポジトリ操作に強み |
| Git連携 | 明示的なGit操作なし(補助は可能) | Git操作を直接サポート(実行・提案・修正含む) |
モデル・精度・コンテキスト
それぞれが搭載している大規模言語モデル(LLM)や、処理できる文脈の長さ、コード生成の安定性といった性能面について比較します。
| 項目 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| 使用モデル | Gemini 2.5 Pro | Claude 3.7 Sonnet/Opus |
| 無料枠での文脈長 | 最大 1 M トークン(Google 公開値) | 100 k トークン |
| コード生成の安定度 | プレビュー直後のため応答にムラが報告されている | 複数ファイル一貫性が高く、商用現場で採用実績あり |
料金体系
両ツールは無料・有料の提供モデルが異なり、利用頻度や導入目的に応じたコスト設計が求められます。以下にそれぞれの料金体系を整理します。
【Gemini CLI】
-
個人 Google アカウント: 無料枠 1 日 1,000 リクエスト。
-
追加利用は Vertex AI / AI Studio の従量課金に切り替え可。
【Claude Code】
-
Pro:月 20 USD(年払い 17 USD/月)
-
Max 5x:月 100 USD/ Max 20x:月 200 USD と段階的に上限拡大。
できること / できないこと
- Gemini CLI でできること
最大 100 万トークン 規模のプロジェクトを対象に、その内容を要約したり、複数ファイルにまたがる横断的な編集を行うことができます。 さらに、 Web 検索や外部ツールとの連携 を通じて、テキストだけでなく 画像や動画などのマルチモーダルなコンテンツの生成 にも対応しています。
- Gemini CLI の主な制限
オンライン接続が必須 で、ローカルでの実行には対応していません(将来的なローカルモデルの提供は検討中とされています)。 また、個人向け利用では 1 分あたり 60 リクエスト、1 日あたり 1,000 リクエストまでという 利用制限が設けられています。
- Claude Code でできること
Claude Code では、claude /commit のようなショートコマンドを用いることで、 Git フローを自動化 できます。 さらに、テストの実行からバグ修正、再テストに至る一連の作業を、対話を通じて一貫して実行できるのが特徴です。
- Claude Code の主な制限
Claude Code は 2025年2月時点で「研究プレビュー」として提供されており、今後仕様が変更される可能性があります。対応するコンテキスト長は 最大 100,000 トークンで、入力されたコードはモデル学習に利用されない と明記されています。ただし、ユーザーからのフィードバックはプライバシーポリシーに基づき 最大で 30 日間保持 されることがあります。
ライセンスとオープン性
OSS か商用ライセンスかは、導入時のコスト管理や改修フローに大きく関わります。ここでは公開形態とコミュニティ規模を公式情報ベースで比較します。
| 項目 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| ライセンス | Apache‑2.0(完全 OSS) | ソース公開。ただし 商用利用は Anthropic Commercial TOS に従う |
| コミュニティ | GitHub Stars 54k/Fork 4.8k(2025‑07 時点) | GitHub Stars 18k/Fork 990(2025‑07 時点) |
セキュリティとプライバシー
両ツールとも、AI にコードやファイル操作を任せることになるため、安全性やプライバシー保護の設計が重要になります。以下にそれぞれの特徴を整理します。
| 観点 | Gemini CLI | Claude Code |
|---|---|---|
| 認証方式 | Google アカウント認証 | APIキーによる直接認証(Anthropic API) |
| ファイル操作・コマンド実行 | 実行前に確認プロンプトを表示(README で gemini コマンドが明示) | 操作はすべてユーザー承認ベースでAPI送信 |
| 入力データのモデル学習利用 | 個人無料枠では入力がモデル改善に使われる可能性(Googleのポリシーに準拠) | 入力はモデル学習に使用しないと明記。フィードバックは30日以内に削除 |
| オフライン利用 | 不可(将来的にローカルモデル検討中と表明) | 不可(すべてAPI経由) |
| プライベート環境対応 | 非対応(2025年7月時点) | 対応:Bedrock や Vertex AI を通じたエンタープライズ向け環境での運用が可能 |
まとめ
ここまで紹介した内容をふまえて、それぞれのツールがどのような用途に適しているかを簡単に整理します。
- 「まず試したい/コストを抑えたい」→ Gemini CLI
無料枠が非常に大きく、コード以外の生成タスクにも幅広く使えます。Google Cloud を既に利用している組織では導入もスムーズです。
- 「本格的に開発効率を上げたい」→ Claude Code
大規模リポジトリを対象にしたリファクタや Git 連携が充実しており、月額投資に見合う開発時間短縮が期待できます。
両ツールとも日々アップデートが続いています。 導入前に試用(Gemini CLI は無料、Claude Code は Pro プランで可)し、自社のワークフローと相性を確認する ことが最適な選択への近道です。