Claude Code は、従来のコード補完ツールとは異なるアプローチをとる “エージェント型” AI アシスタントです。
たとえば、一般的な補完ツールは「入力中の1行を補ってくれる」程度にとどまるのに対し、Claude Code はまるでチームの熟練エンジニアのように、ファイル全体の理解・改修・検証までをひとつの流れで行えるのが特徴です。初めて使う際には「どこから手をつければいいのか分からない」と感じることもあるでしょう。
本記事では、Anthropic の開発チーム自身が語った公式トークの内容をもとに、Claude Code を最大限に活用するための実践的なノウハウを、詳しく紹介します。
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Anthropicが公開したClaude Codeベストプラクティス完全ガイド
目次
- Claude Code とは?
- はじめの 3 ステップ
- まずは “コードベース Q&A” から
- 安全にコードを編集するワークフロー
- チーム全員で”賢く”使う仕組み化
- claude.md(共有メモリ)の設計
- Enterprise Policy で 許可 / 禁止 を一括管理
- 覚えておくと便利なキーバインド
- CLI‑SDK で “AI Unix パイプライン” を作る
- パラレル活用術(上級者向け)
- まとめ
Claude Code とは?
Claude Code は、複数のツール(ファイル編集・検索・シェル実行など)を自動で組み合わせて処理を進める、ツール駆動型のエージェントです。
たとえば、従来のツールは「次の1行を予測する」だけのものが多いですが、Claude Code はもっと踏み込んで、 ある機能全体の設計から実装・テストまで を一連の流れとしてこなしてくれます。バグ修正や複雑な関数の追加なども「指示を出すだけ」で進めてくれるのが特長です。
また、Claude Code は以下のような特徴を持っています。
- IDE に依存しない
VS Code、JetBrains、Vim、さらにはリモート環境(SSH や tmux)でも利用可能。
- ローカル完結型
コードは外部にアップロードされず、ローカル環境のみで動作します。
- マルチモーダル対応
コード以外にも、画像・PDF・ノートブックなどを読み取って処理可能。画像をドラッグ&ドロップ、ファイルパスの貼り付け、ペーストなどが可能。
Claude Code は起動直後に claude.md という設定ファイルを自動的に読み込みます。これにより、プロジェクト固有の知識やルールをすぐに共有でき、作業効率が大きく向上します。
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Claude Codeとは?料金・機能・安全性をわかりやすく解説
はじめの 3 ステップ
Claude Code を使い始める際に、まず押さえておくべきポイントを 3 つにまとめました。難しい手順はありませんが、以下の流れを一通り踏んでおくと、以後の利用がスムーズになります。
① 環境を整える
Claude Code はターミナル上で使います。最初に terminal-setup を実行すると、Shift+Enter で改行できるなど、操作がしやすくなります。また、theme light や theme dark で好みに合わせた表示テーマを設定できます。
② GitHub 連携を有効にする
/install-github-app を実行すると、GitHub 上のプルリクエストや Issue に対して Claude をメンションで呼び出せるようになります。レビューや変更提案も Claude に頼めるようになるため、チーム開発では必須の設定です。
③ 音声入力を活用する
(Mac の場合) macOS の「アクセシビリティ > 音声入力」で、音声プロンプトを入力する機能を有効化できます。キーボードを使わずに「この関数を整理して」などと話しかけることで、より自然な対話が可能になります(ダブル Ctrl で起動)。
まずは “コードベース Q&A” から
Claude Code を初めて使う場合、一番おすすめなのは 「コードに関する質問をしてみる」 ことです。
たとえば、
// 例1:クラスの利用方法を調査「PaymentScheduler はどこでインスタンス化されていますか?」
// 例2:歴史的経緯を追跡「この関数が 15 個の引数を持つ理由を Git ログから教えて」Claude Code は Git コマンドを自ら実行して、その履歴から背景情報を要約してくれます。まるで経験豊富な同僚に質問するような感覚で、プロジェクトの理解が深まります。
安全にコードを編集するワークフロー
Claude Code にコードを書かせる前に、いくつかの基本的な工夫をすることで、精度や再現性が大きく向上します。ここではそのステップを順番に紹介します。
- プランを立てさせる
「まず実装方針を 3 行で提案 → 承認後にコードを書いて」
- ツールを組み合わせる
edit_file + bash + search を自動でオーケストレーション 例:commit push と打つだけでブランチ作成〜PR 起票まで完了
- 自己評価ループを持たせる
ユニットテスト/Puppeteer スクリーンショットなど 結果を検証できる コマンドを教える 成功 or 失敗を検知しながら 2〜3 回リトライ → 精度が一気に向上
これらのステップを取り入れることで、Claude Code に任せる作業の質と効率が格段にアップします。特に複数ファイルにまたがる変更や UI のように視覚的な検証が必要な場合には、このような段階的アプローチが非常に効果的です。
チーム全員で”賢く”使う仕組み化
Claude Code をチームで活用する際に重要なのが、「一人ひとりが個別に使う」だけでなく、「プロジェクトや組織全体で共通のナレッジ・設定を持つ」ことです。
理由はシンプルで、Claude Code の強みは「文脈(コンテキスト)に応じた賢い振る舞い」にあります。その文脈を構成する情報を、 チーム全体で共有・構造化しておくことで、1 回のプロンプトでもっと的確で一貫した応答 を引き出せるようになります。
この章では、Claude Code の共有設定の中核である claude.md や Enterprise Policy の活用法について詳しく見ていきます。
claude.md(共有メモリ)の設計
| 推奨項目 | 例 |
|---|---|
| 主要フォルダ構成 | apps/, packages/, infra/ |
| スタイルガイド | ”フロントは Tailwind、命名は camelCase” |
| よく使う CLI | make dev, npm run test:e2e |
| 承認済み MCP(外部 API) | puppeteer, barley-cli |
【コツ】
-
100〜150 行以内 に収めるとコンテキスト負荷が少ない
-
個人用は
.local.claude.mdに分離(社内レビュー不要)
Enterprise Policy で 許可 / 禁止 を一括管理
チームメンバーが Claude Code を安全かつ一貫性を持って利用するためには、「どの操作を許可し、どの操作をブロックするか」を明確に定義しておくことが不可欠です。これを実現するのが、Enterprise Policy の設定です。
Enterprise Policy を適用することで、次のような具体的な効果が得られます。
-
安全な Bash コマンドは自動的に許可され、危険な URL は完全にブロックされる
-
新入社員でも初日から同じツール群を利用できる
あらかじめ定義されたルールに従うことで、手作業による確認や承認の負担を軽減しながら、安全性と開発効率のバランスを保つことができます。特に、オンボーディング時の環境構築が簡素化され、全員が共通の基盤で作業を開始できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。
覚えておくと便利なキーバインド
Claude Code はターミナル上で動作するため、操作の効率を高めるにはショートカットキーを覚えるのが効果的です。ここでは、特によく使われるキー操作をいくつか紹介します。
| 操作 | キー | 説明 |
|---|---|---|
| 編集を自動承認 | Shift + Tab | ”連続 OK” モードへ |
| 任意 Bash 実行 | ! + コマンド | 出力も次ターンに渡る |
| 記憶に追加 | # + テキスト | 現在セッション or claude.md を選択可 |
| 中断 | Esc | いつでも安全にストップ |
| ログ全表示 | Ctrl + R | Claude が見ている全文を確認 |
これらのショートカットを活用することで、毎回のやり取りや編集確認の手間がぐっと減り、Claude Code をよりスムーズに使いこなせるようになります。
CLI‑SDK で “AI Unix パイプライン” を作る
Claude Code は、 コマンドラインから直接呼び出せる SDK(ソフトウェア開発キット)を備えており、スクリプトや CI ツールにそのまま組み込むことができます。これにより、AI の機能を Unix のようなパイプ処理として活用でき、日常の業務に自然に溶け込ませることが可能です。
たとえば、Git の変更差分を要約し、Pull Request 用の説明文を自動生成するような使い方ができます。以下はその一例です。
git diff -U0 | claude -p "以下を2段落で要約してください" --format json | jq .resultこのような使い方により、手作業による記述や確認の手間を省きつつ、レビュー対応の品質を一定に保つことができます。
CLI SDK の導入には、再現性のあるワークフローが構築できること、ミスやばらつきが減らせること、対応スピードが向上することなど、さまざまな利点 があります。特に監視や CI/CD まわりのタスクとは非常に相性がよく、自動化の効果が大きく現れます。
さらに、 Claude の出力はストリーミング形式の JSON に対応しており、ダッシュボードやアラートシステムへのリアルタイム連携も容易 です。これにより、AI を単なる個人用ツールではなく、チーム全体の生産性と安全性を支える”共通基盤”として活用できるようになります。
パラレル活用術(上級者向け)
Claude Code は 1 セッションでも十分に活用できますが、並列で複数の作業を進めたい場面では「パラレル活用」が非常に有効です。ここでは、上級者向けの活用方法として、用途に応じたセッションの分け方を紹介します。
| シナリオ | ベストプラクティス |
|---|---|
| 同一リポジトリで複数タスク | git worktree で枝分かれチェックアウト |
| リモート開発サーバ | SSH + tmux でタブごとに独立セッション |
| 大規模リファクタ | 3 セッション並列:Q&A / ユニットテスト生成 / ドキュメント更新 |
特に大規模な開発や保守フェーズでは、Claude を複数走らせることで「調査」「設計」「修正」などの役割を分担でき、作業スピードと精度を両立できます。チーム内でも取り入れてみる価値は十分にあるでしょう。
まとめ
Claude Code は 「エンジニアが手にする最強のマルチツール」 です。まずは Q&A でリポジトリを”会話形式”で理解する ところから始め、
-
プラン→編集→検証 の型を徹底
-
claude.md とツール設定 をチームで共有
この 2 つを押さえるだけで、 オンボーディング期間が「数週間 → 数日」に短縮 した例も珍しくありません。ぜひ、自社プロジェクトでも”エージェント型開発”の効果を体感してみてください。
【参考】
本記事は Anthropic 技術スタッフ Boris 氏による公式トーク(YouTube)の全トランスクリプトをもとに執筆しました。